お通夜に行きました。

高校の美術の先生が亡くなった。担任で選択教科の先生、仲がよかったとか影響を受けたとかいう強い存在ではなかったけど、美術を選択したことが今の仕事に繋がってるのは確かで友人が結構慕ってたのであの頃の思い出の画面隅には先生がいたような。

電車を降り改札を出ると喪服を着た人、制服の高校生が溢れていた。駅から見おろせるところにあった式場の前は真っ黒の長蛇の列。生徒さん、卒業生、卒業生の子供、先生・・・うわっすげー。30年近く先生やってたんだもんね、関わった人いっぱいいんだよなぁ。先生びっくりしてんじゃない?この人の多さに、なんて話しながら列に加わる。そういえば先生のお通夜って始めて参列する。

一年ほど前、ひょんなことから電話で話す機会があった。大きい病気をして入院して退院して誕生会を開いてもらったんだというご機嫌な電話。先生になりきれない感あふれるキャラは健在で、変わんないねーだった。年賀状一枚だしてない一卒業生をうっすら覚えてくれてたことも嬉しかった。今日たくさんの生徒さん卒業生を見てそのことを思い出し鼻の奥がちょっと痛くなった。

先生の作品が並んだロビーを抜けたら遺影が見えた。15年ぶりに観る先生はいい感じにキタないオヤジになってた。左頬をカメラに向けちょっと顎があがってるお約束の角度。病気で亡くなったから最近のものではないかもしれないし、こうやって会うのは悲しくもありながら不謹慎だけど「先生久しぶりっ」って感じだった。たくさんの彫刻は家族が題材の作品、自分が高校生の時は独身さんでしたからこういう温かい作品を見るのは初めて。もっとゆっくり観たかったけどとにかく人人人。残念だったな。

卒業した高校が統廃合でなくなって、今何をしてるかわかっている唯一の先生だった。先生が唯一「高校生」に戻れる場所だったんだ。そういう気持ちを持ってたことに亡くなった今気が付いた。ものすごく寂しくなった。先生が感じてた以上に先生は先生だったんじゃないかな、今更かもしれませんが。

この先、たまに思い出すと思うけどたまにだからさ(苦笑)きっとたくさんの生徒がちょこちょこ思い出して先生大変だ。エゴン植木先生、ご冥福をお祈りいたします。